TOSクリア雑感【ネタバレあり】

 クリアしました。ゼロスルートに行ったので最終パーティーはロイド・プレセア・ゼロス・リフィル先生。ルイン復興のためトレントのドラゴン(下限:1200経験値、8300ガルド)を狩りまくってたらやけにレベルが上がってしまい、ラスボス瞬殺。リフィルの回復が強すぎるから仕方ないね。それにしたってテイルズは30時間くらいでクリアできるはずなんだけど、なんでこんな倍近くかかってるんだろう……。


 歳をとって改めてプレイすると、教科書みたいな作品だなと思った。

 シンフォニアは差別が大テーマとなっていて、「ハーフエルフが半端者として人間とエルフに差別される世界」と「人間が劣等種としてハーフエルフ(劇中では途中までディザイアンと名乗っている)に差別される世界」のいびつな二つの世界が舞台。そんな中で「種族が異なるから差別が生まれる。すべての種族が無機生命体として等しい存在になれば差別は消える」と敵方は主張するわけだけど。当然そんなことはない。劇中でも人間同士貧富の差が激しく、豪奢な屋敷街から一歩逸れれば貧民街が広がっていて、彼らは街を歩くだけで警備兵を呼ばれたりする。かたやエルフもハーフエルフを産んだだけで故郷を追いやられる。私たち現実世界でも、たとえ同じ日本人だろうが出自、性別、容姿、年齢、障害の有無、学歴、正規・非正規……と差別の対象は枚挙に暇がない。人の数だけ大小違いはあって、そこから差別は簡単に生まれる。

 ラスボス戦の直前、無機生命体化という理想を掲げるミトスに対し、リーガルが「それでは差別はなくならない」と一刀両断し、ゼロスは「俺様が好きなやつも俺様が嫌いなやつも、俺様の世界にいていい。それが当たり前なんだから」と言う。種族がなくなれば別の違いに目を向けるようになるだろう。本当はそのまま生きていていい。嫌いだから、気に食わないから、という理由で虐げたり、殺害したりする権利は誰も持っていない。

 また、ハーフエルフとして差別を受け、人間とエルフを憎んでいたジーニアスも、ロイドをはじめとする仲間の優しさに触れ、みんながみんなそうじゃないんだと気づく。「相手を見下す心、自分を過信する心、そういう心の弱さが差別を作るんだと思う」。

 みんなが違いを受け入れられるほど強くはない。わからなくて怖いからだ。それを避けるために逃げたり攻撃したりする。ただこれが加速すると、最悪の場合ジェノサイドが起こる。だから差別はダメなんだと、建前だろうがルールを作って明文化することで、あるべき姿が示され、各々の権利が守られる。このルールは当然誰の命も脅かさない、みんなが等しく安心して生きることができる、それだけの、当たり前のものである。

 プレイしながら、このシーンは私たちの世界に当てはめたとき、どうなるだろう?と考えていた。テセアラ編が終わってからは一層厳しい現実を突きつけられ、ロイドたちは苦悩しつつも、ひとは変われるんだと信じて足を止めない。プレイヤーも伴走者として彼らについて行った先で、「もしかしたら」と信じられる瞬間が来る……かもしれない。古いゲームだけど、こんなに綺麗に差別というテーマをまとめた作品はなかなかないので、過去として消えないでほしいなと思った。戦闘システムは難ありだけど。戦闘システムは難ありだけど。


 終わり。