ベリード・スターズ【ネタバレあり】

※ネタバレは下部にあります。

 

 セールになっていたのでなんとなく買った韓国発ADV「ベリード・スターズ」がめちゃくちゃ面白かった。どうでもいいけど私は百年経っても「ば…… buried」と読み続けると思われる。

 

 オーディション番組の最中、崩落したステージに取り残された出演者5人+AD1人が、SNSで好き勝手言われたり、殺人が発生してどこかに潜んでいると思われる殺人犯に怯えたり、お互いに疑心暗鬼になったりしながら救出までの6時間を生き残るゲーム。全体的な雰囲気と死体発見時の演出がかなりダンガンロンパっぽいけど、ダンガンロンパみたいに「ウワー!グロ!」みたいなシーンはない。安心して遊ぼう(ただし一部無断ホラー展開あり。ふざけるな……)。

 SNSが話の肝になっていて、昨今のリアリティ番組に関わる諸問題(日本ではテラスハウスなど)がガチガチに反映されている。出演者は番組側によって設定されたキャラクターを演じることを強要され、特定の人物をヒールに仕立て上げる意図的な編集も行われる。

 登場人物たちは、いまだ崩落の危険性のあるステージで限界状況下のなか、SNS上で匿名ユーザーから誹謗中傷を受け、根拠のない噂を流され、なかには彼らを脅迫する悪質なユーザーも出てくる。さらに事故にもかかわらず視聴者投票は続行されており、刺激すれば収拾がつかなくなるため彼らは強く反論できないまま精神的に追い詰められていく。

 これらはストーリーを進めるにつれ段々と過激になっていき、プレイヤーも読んでいてしんどいレベルに。ただ、怖いのが「今どういう反応されているんだろう?」と気になってSNSを開いてしまうところ。開かないと話は進まないんだけど、チャプター進んだ瞬間反応を知りたくて開く自分に呆れた。

 

 エンディングは複数あって、ノーマルエンドに到達するとトゥルーエンドに向かうルート解禁→トゥルーエンドに到達するとさらに他のルート解禁、という感じで周回前提。早送りできるので周回ストレスはあまりない。ただし、キャラクターとの会話中どっちの選択肢なら好感度上げられるんだっけ?とかいう情報は記録されない(選択肢があることだけしかわからない)ので、結局攻略サイト見た。

 新しいルートに進むたびに、登場人物の解像度が上がっていって、前回のルートではわからなかった事情を知れる。なので1周目で「なんだこのキャラうぜ〜」と思ってたのがまあ120度くらい変わったり、「結局やっぱうぜ〜」となったり。全ルートに行かないとキャラクターの全貌はわからない。これは何回もやりたくなる。

 

 登場人物はみ〜んな(見た目は)かわいい。イラスト超綺麗。

 ここに主人公・相羽亮を足して6人。不穏な空気ですが崩落現場に閉じ込められてるんだから当たり前です。

 相羽亮:視聴者投票第4位。冴え渡る判断力と推理力によりみんなを恐怖に陥れる。柿原徹也の演技がかなりくどいが要所要所いい感じで馴染む(なお逆に悪目立ちもする)。裏切り者らしいけど言うほどか?

 鈴木圭祐:視聴者投票第1位。なんかやたらと相羽の肩を持つというか親密さを醸し出してくるが、崩落時に命を助けてもらった以外に特にエピソードはないっぽい。距離の詰め方が怖い。

 清水直人:AD。久仁香につきまとっている。塚本のことがめちゃくちゃ嫌いなので、相羽に対する塚本の好感度が上がるときは清水の好感度が下がる。そしてだいたいの会話で好感度下がるためセーブ&ロード泣かせ。

 吉田玲奈:視聴者投票第2位。方々からEXILEのTAKAHIROみたいな恨まれ方をしている。最初だけ星野にブチギレるけど以降は別人のように冷静になる。最初なんだったのか。かわいいので執拗に電話をかけまくった。

 塚本悠真:視聴者投票第5位(最下位)。すごい感じ悪くて相羽以外からめちゃくちゃ嫌われている。彼との会話はまじめに読むとこいつめんどくせ〜ってなるけど、最後は結構好きなキャラクターになった。

 星野久仁香:視聴者投票第3位。塚本のことが嫌いなので(略)。塚本の次くらいに頭に血がのぼりやすい。相羽も突っ掛かられまくったためあまりいい思い出がない。吉田のことを慕っているが、エピソードは特にない。

 テキスト量がとにかく多いので全体的に各キャラクター同士のエピソードは薄め。崩落前どれくらい仲がよかったかは全くわからない。そう考えるとちょっとそこだけもったいなかったかも。

 

 一方でシステム面は致命的な欠陥があり、①自動送り機能が地の文だけ異常に速い、②ログが頻繁に消去される、の2点。

 ①については、頑張れば読めるときもあるが、ひどいものだと一瞬で消えたりする。全く読めない。なので見たことがないシーンで自動送りにするとなにが起こったのかわからなくなるため、手動が必須になる。これはちょっとひどい。

 そして②は、どうも選択肢や暗転でログの保存が区切られているらしく、少し進んだだけで過去のセリフが一切読み返せなくなる。なんでこの仕様にしたの……。しかもログが表示できるタイミングは誰かのセリフや地の文が出ているときだけなので、①の早送りで見逃した上会話が終了したりなんかすると、やり直さない限り二度と読めない。

 

 

 

<以下ネタバレあり>

 エピローグのミスがめちゃくちゃ気になってしまった。

・一部ボイスと文章の内容が違う。先に録音したあと文章の修正をしたのかもしれない。

・PlugHoleとの会話で、「俺は河野(かわの)達也だ」→「妹にサインくれ。名前は河野(こうの)楓」→「(達也に対して)こ、河野(こうの)さん……」こっちについてはどういうことなんだ。撮り直しがきくきかない以前に録音中誰も気が付かなかったのか。最後の最後でこれかよ〜という気に。

 河野楓はマスクでレイドなのかな?と思ったけどどうなんだろう。なんだかいろいろとはっきりしないトゥルーエンドだった。相羽と鈴木がいきなりフィーチャーされたのもよくわからず。もうちょっとバディっぽくできたらよかったのかもしれないけど、それだと「誰が犯人かわからない」状態じゃなくなってしまうし。なので、個人的には塚本生存のBルートと、鈴木出頭のノーマルエンドがしっくりきた。塚本の真相をわかっておきながら、彼の汚名返上の機会がないのは可哀想だけど。というかトゥルーの吉田以外はみんな汚名被ったままでなんとも言えない。プレイヤーとしてはどうにかしてほしくもあったけど、このやるせなさがベリード・スターズが表現したいことのひとつなのかなとも思った。