パラノマサイト【ネタバレあり】

 クリアしたので感想。個人的にはまあ悪くはないんだけど……という感じ。Steamだったらおすすめしませんのレビュー。絶賛記事を読んで期待値が上がりすぎていたのがよくなかったのかも。428や街のような分岐を想像していたので、ボリュームがあっさりしていて拍子抜けだった。当然キャラクターの深掘りもないので(あえて?)愛着も特に湧かない。

 そんでもって前半が心霊的に怖くて後半はミステリー的な怖さがあって(特にマダムと灯野あやめの駆け引きはとにかくビビった)、ビビリな自分にはつらいゲームであった。じゃあやるなよ。テキストが妙に寒いシーンがあったり、キャラクターが口をとがらせる立ち絵がなんとなく鬱陶しかったり(かわいいっちゃかわいいんだけどね)、呪いの演出がくどかったり、雰囲気がちょっと肌に合わなかった。

 ↑こういう。昭和の設定なので耄碌したとか使うけど、絵柄はハイカラなのでちぐはぐな印象。十三機兵防衛圏っぽくてかわいいはかわいいのだが……。

 

 ノーマルエンドより真エンドのほうがいまいちだったのも、結構ガッカリポイント。描写不足なところも多かったと思う。

 興家がなぜ最初葉子をあんなに蘇らせたがってたのかもよくわからないなあ。そのわりに真エンドでは、葉子が真犯人とわかった後とはいえ、「さ……飲みに行くか」と急に神宮寺三郎みたいなハードボイルドモードに入ったので、( ゚д゚)ポカーンだった。葉子の暗躍は全部資料で読んでね☆というのもなんかなあ。資料にまとめてくれるのは助かるんだけど、劇中でなく資料「だけで」解説されるのはやや興ざめ。

 そして、本編では呪いで殺意が強まっていたとはいえ、葦宮はあんな感じで津詰と話しちゃうの? 篠のことを諦めきれなくて凶行に及んだ上、事前に葉子に入れ知恵されて再度の蘇りを狙っていたはずだが……。「呪いでおかしくなってた」で片付けられるもんなのかね。

 津詰も娘となんとかやってる的なこと言ってたけど、心変わりするような瞬間なんて起こってないんだから、あやめはずっと心を閉ざしたままなんだろうな(というかあやめは美智代ひき逃げの件で逮捕されてなかったけどいいの? 時間の問題かな)。真エンド=葉子を止められるだけのエンドってことなのかもしれない。たしかにハッピーとは限らない。

 

 詰まったのは美智代の「行動を忘れない」のところだけで(忘れない……スクショか!?ってしばらくカシャカシャ撮りまくってた)、ほかはわりかしすんなり進められたと思う。勝手にキャラクターが推理していく部分が多くて、本当にただ読んでるだけで謎解きにプレイヤーが干渉できない仕組みなのが残念。逆裁みたいに、証拠品を出さないと進めない!う〜んこうか!?ハズレ、成歩堂クンお仕置き!有罪!ということがほぼない。札剥がしくらいじゃないかな正直。それも失敗回数カウントされるくらいでデメリットないし(ちなみに5回やりなおした)。

 

 面白いところもちょこちょこあった。

 序盤興家操作のとき、R2押して呪殺しまくったので、興家の死亡後案内人に「興家は何人殺したでしょう?」と質問されて元気いっぱい「5人!」と答え、ざんね〜ん0人です!されたときは??となったけど、自分(プレイヤー)が殺してただけ、と気づいたときはウオ〜ッなるほどね!と思った。セイマン殺意高すぎるだろ。真エンド探してる最中あえて殺さなくても勝手に呪殺されたときは0人じゃなくなっていたので、ん?としばし考え……ようやく気づきました。

 でもメタ系のオチって、こんだけ考えて、プレイヤーがセイマンとか、ミステリーとしてはどうなの?と疑問に感じる部分ではある。足洗い屋敷で声OFFに気づいたときからメタ要素の多いゲームなのかなとは思ったけど。

 

 あと、最初は「エリオとミヲが札を剥がすときにそれぞれの本所七不思議(といってもそのうち5つ)が実はひとつの事件として繋がっていた」と答え合わせができたときはなかなかカイカンだった。本編でもっと絡んできたらよいなとは思ったけど、各々の記憶が呪いの強さに直接影響してるのは新しいよね。ああいうのって基本みんな戦えるよう呪いの強さは等しくあるところ、偏らせて、馬鹿囃子とかいや足洗い屋敷下位互換やんけ……30秒とかバレるやん(2人殺せたけど)→「イヤイヤ呪影が陰陽師なんですわ」の種明かしは納得。

 

 ↑作中一可哀想だったけど作中一好きだった白石美智代。約子との別れは比較的丁寧に描かれていてよかった。

 

 

 好き勝手呪殺できるわけではないので、自由度を求める人には期待外れだと思うし、ダンガンロンパ逆裁のスピード感ある骨太な謎解きをしたい人もやめたほうがいいと思う。自分にはすごく物足りなかった。

 次作が出たらリヒトと名前だけ出てきた雨森少年の話になりそうですね。出ても多分買わないかなあ。なんか、ホラー苦手って痛感しました。